けやの森学園幼稚舎・保育園
 23年度の学び


ダンゴムシの不思議から始まるこどもの主体的な生活
テーマ〜みんな触れ合って生きている〜 2012年度うみぐみの生活
けやの森学園では、「生きる力を育む自然の教育」の旗印の下に35年間、自然体験活動を中心とした教育を実践してきました。身体で学ぶ体験学習は物事の本質を理解することができます。体験の場を自然の中に見出したのは、その多様性、関係性等のもつ意味のすばらしさ、奥深さでした。 。

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 T はじめに
1, けやの森学園の教育理念と保育
 本園は、「生きる力を育む自然の教育」を念頭に、自然のもつ素朴さ、美しさ、偉大さ、厳しさ、不思議さを五感を通して感じられるように導き、みずみずしい感性を培いたいという想いから、自然体験を重視しています。自然体験から生まれる豊かな感性が、一人ひとりの生きる力につながると信じ、日々こどもたちと向き合っています。
 また、上記の理念を現実の保育とするために、日常的に近隣に借りている林へ出かけ、季節を五感で感じながら遊んでいます。色の出る葉っぱを見つけては、お料理ごっこへ発展したり、イチゴを摘んで味わったり、友だちと虫探しに熱中したりしながら、「今日は何しよう!」「アッ、木の実みつけたよ!つぶしたら種がでてきた!」など、毎回こどもたちは発見や工夫をしながら、自然の中で心を開放し遊んでいます。
2, 科学する心、科学する心を育てるとは
 私は、科学する心を以下のように捉えました。
  1. 豊かな感性
  2. 不思議を感じる心
  3. 知らないことを知り得ていくことへのワクワク感(知的好奇心)
  4. 未来を創造する心
 これらを基に、
  1. 自分の心や考えと向き合っていく力
  2. 友だちとぶつかったり協力したり共感していく力
  3. さらなる新しい一歩へと踏み込んでいく勇気
上記の力を育てることが、科学する心を育てることであると、私は考えました。
3, こどもの様子(対象時期・対象年齢)
 2012年度の年長児26名(男児13名女児13名)は、年中児の頃から男女共に、昆虫への興味関心のある子が多く、林や園庭では必ず虫探しが始まり、さらには何か作品を作ろうとなれば昆虫を題材に作ることが多いクラスでした。私は、保育者一年目にこのこどもたちと出逢い、持ち上がりで一緒に年長クラスになりました。そこで、子どもたちの探究心がさらに「昆虫」を中心に深まっていきました。
4, 保育者の意図
 初めはダンゴムシに焦点を当ててはいませんでした。保育者自身の中では子どもたちの大好きな「カエル」「ムカデ」「チョウチョウ」「アリ」「蜘蛛」といった種類も考えました。しかし、先に計画しておくよりも、実際に4月から新学年がスタートし、林や園庭遊びの中で子どもたちが「不思議!もっと調べてみたい」といった興味が出てきた生き物を見つけた時に、子どもと一緒に考えを深めていければと思いました。そして、子どもたちの興味を惹きつけたのが「ダンゴムシ」でした。ダンゴムシはどこにでもいて、とても身近な生き物です。危害もなく、手に取って触る子ともできます。また、あの体を覆う殻も子どもたちの関心を惹きつけました。乳児から男女問わず興味をひく生き物ということから、今まで捕まえて見るだけで満足していたダンゴムシに焦点をあて、子どもたちの好奇心を引き出し一緒にダンゴムシについて深く知る活動を展開していきたいと思いました。


 U 事例
<1 ダンゴムシの生態について知ろう>
ねらい 身近なダンゴムシに興味をもとう
意図  身近なダンゴムシに興味をもたせ、そこから意欲的に究明
     させたいと思った。
子どもが活動の中で発したことば 保育者の配慮・子どもの姿
保育者:みてみて、ダンゴムシ見つけたよ!
子ども:すげー!
保育者:足がたくさんあるね!どうやって歩くのだろう。
子ども:道を作ってみよう。!
砂場で道づくりを始める。途中トンネルにする。
子ども:ここはトンネルの道だよ!
保育者:ここは大きな山にしよう。
子ども:道を作ってみよう。
道を作りながら、疑問のつぶやきが出ました。
保育者:ダンゴムシの足ってなんでたくさんあるのかな〜。あとで図鑑見てみようよ
子ども:調べてみたい!
配慮
自分たちで図鑑を見て確かめたり、友だちと確認し合ったりする姿が見られることからも、子どもたちの興味がわいていることを感じました。そこで、保育室にはこどもたちがすぐに見られるように、ダンゴムシに関する資料を集め、置くようにしました。さらに、図鑑や絵本もこどもたちがテラスに持ち出して実際のダンゴムシと見比べられるようにしました。その後、虫眼鏡も用意して、よりじっくりと観察できるようにしていきました。
疑問*ダンゴムシは泳げるの?
子どもが活動の中で発したことば 保育者の配慮・子どもの姿
保育者:ダンゴムシって水に浮くのかなぁ?
子ども:どうやって?
    水に入れちゃかわいそうだよ。


こどもたちから、いつも土の上を歩くダンゴムシが泳ぐかもしれないという好奇心がでてきた。そこで、すぐに助けてあげることにして、バケツに水をはり、水の中に放してみることにした。

予想
子ども:泳ぐと思う。
    浮くと思う。
    丸くなると思う。

結果
子ども:すげー!浮いた!
    犬かきした。
    丸くなったよ。
    あっ、沈んだ…。救出!

保育者:なんで浮いたんだろう?
子ども:丸くなるから、水が入らないんじゃない?
    すごいね!ダンゴムシ泳いだよ!!
    ダンゴムシは浮くことが分かった。
    浮いて、足をバタバタさせて泳ぐことが分かった。

図鑑からはわからないこともあること、そしてどんな些細なことでも不思議に思っていいことを伝えていきたいと思っていました。さらにもっと不思議ポイントを見つけていきながらその中で、子どもたちの創造力や好奇心、意欲をもって自主的に動く楽しさを知らせていけたらと思いました。
そこで、今まで注目してきた「オスは?メスは?食べ物は?・・・」といったこと以外からの視点を持ち、普段、土の上にいるダンゴムシは、水の中ではどうなるのかという新しい視点から考えるきっかけを投げかけました。保育者は事前に、ダンゴムシはお腹に空気をためて数分なら生きられるということがわかっていました。
疑問*ダンゴムシの足は何本?
子どもが活動の中で発したことば 保育者の配慮・子どもの姿
子ども:ダンゴムシの足って本当に14本なのかな?

予想
子ども:14本あると思う。
    14本よりもっと多くあると思う!
    (14本より少ないと思う子はいなかった)


検証
1,グループ:足をそーっと止めて、数える
2,グループ:丸くならないように押さえて数える
3,グループ:大きいダンゴムシを捕まえて、虫眼鏡を使って見て数える
4,グループ:裏返して皆で数える

子どもたちと足の数を調べているとき
子ども:なんだろうこれ??
    黄色いものがお腹にいっぱいあるよ?
    みせてみせて!!
    うわぁー!すごい!!
    これって、たまごじゃない?
    お母さんのお腹にたまごがあるんだよ!
    ちっちゃーい!


結果
12〜13本、11本、14本、15本、17本と結果がバラバラ。 保育者:結果がバラバラなのはどうしてだと思う?
子ども:こども:足がとれちゃったんじゃない?
    2本は触覚だよ。
    触覚も数えているんじゃない?

子どもたちと改めて、図鑑で触覚を調べてみる。
子ども:足はやっぱり14本だ!
    2本の触角があるんだね!
    すごいなー。

ダンゴムシについて知りたいことは何か?をこどもたちと話している時に、「ダンゴムシの足って本当に14本なのかな?」
という疑問がでてきました。そこで、こどもからあがった疑問だからこそ、こどもたちが考えた方法で検証してみようと保育者は考えました。






こどもたちはお腹にたまごを抱えたお母さんダンゴムシを見つけました。図鑑で少し見たことがあるこどもも、初めて目の前でみるダンゴムシのたまごの姿に、驚きといたわりと感激が混じった複雑な気持ちで観察していました。

考察
  1. 実際に数えていくうちに、お腹を中心にきれいに左右対称7本ずつ並んでいることに気づくことができていました。
  2. 逃げだしたり丸くなったりしてしまうためにダンゴムシを動かさず、足の数を数えるということは大変難しそうでした。動くものを数えるために瞬時の集中力が必要となっていましたが、いつもより真剣に向かう姿がありました。また敵から身を守るために丸くなるということも実感することができました。
  3. より正確に数えるために、対象物が大きく見える虫眼鏡を提供しました。焦点を合わせてハッキリ見える距離を定め使いこなすことができ、用具にも親しむことができました。
  4. 足とは違う長さと位置にある2本を触角と確認することができました。そして、触角の働きにも疑問を感じたようでしたので、次の展開につなげていきたいと思いました。
  5. たくさんのダンゴムシの中におなかに白いものをかかえたものも発見することができました。中に、極小のダンゴムシも見つけ、とっさに強引に数えようとしていた手元がゆるみ、こども自身でいたわる姿が見られ嬉しく感じました。
  6. 身近にいるダンゴムシと仲良くなり、生態を知れば知るほど違う疑問がわいてきて、日々仲間を増やしながらダンゴムシに向かう姿が意欲的になっていく様子に、今後の保育をさらに活気あるものにしていきたいと保育者自身の心を熱くし力がわいてきました。

<2 ダンゴムシ迷路をつくろう>
ねらい ダンゴムシを走らせるために協力して迷路をつくろう
意図  自分の考えを伝え、友だちの意見を聞いて、一つの形にしていく
     過程を経験させたいと思った。
子どもが活動の中で発したことば 保育者の配慮・子どもの姿
ダンゴムシ迷路の設計図を描いてきた子どもたちとこれからどうやって迷路を作っていこうか相談をする。

保育者:描いてきた迷路がいくつもあって、みんなバラバラだね。どうしようか?
子ども:くっつけたら?
    ひとつの迷路にしよう!

保育者:これを何で作ろうか?
子ども:段ボール!
子ども:木!
保育者:ということは、あまりくねくねしちゃうとどう?
子ども:段ボールだと作れないかもね。
    カクカクにする!


一度、設計図を見ながら、粘土で模型をつくってみる。さらに、その模型を子どもが見ながら一枚の模造紙に書き写し、迷路の計画図を完成させた。

子ども:山作ろうっと!
    落とし穴も作りたいな。
    すべりだいもあるとおもしろそう。
    じゃまものもつけようよ!



その後、担任が計画図を段ボールに貼り合わせ、段ボールの周りに枠をつくりました。

子ども:林にも持って行って迷路をつくろう!

林遊びの際にも迷路を持ち運び、迷路づくりに熱中しました。

子ども:ダンゴムシは落ち葉が好きだから、
    落ち葉を入れてあげよう。
    ドングリはえさにしよう!



ダンゴムシ迷路づくりはその後、数日かけて作り上げました。紙粘土も使い、公園、幼稚園、サッカー場なども作りました。

さらに、

子ども:階段を登るか見てみたい。
    暗い所が好きだから、トンネルの道を作って通るか見たい。
    ダンゴムシは何色が好きか見たい。
    体が黒だから、黒色の道を作ってみる。
    そしたら、赤ちゃんは白だから、白の道も作ろうよ。

子どもたちのアイデアがたくさんつまった迷路が出来上がりました。
しかし、いざ、ダンゴムシを放してみると、簡単にダンゴムシは塀を超えて、逃げて行ってしまいました。


保育者:どうすれば、壁を越えずに、作ったコースを進んでくれるのかな?
子ども:もっと高い壁にしたら?
    ダンゴムシが登れないように、ツルツルする壁にしたら?

きっかけ
 ダンゴムシレースを行った時に、ダンゴムシがまっすぐに走らず、子どもたちは困っていました。

保育者:どうしたらいいんだろう?
子ども:コースを作ってあげる
    木で。木を置いて作る。
    走るコースにしよう。


枝でコースを二本作りました。そして、障害物も作っていくうちに、迷路にしたいという話がもちあがったことから、ダンゴムシ迷路づくりに発展しました。


<N児に関しての記録>
 N児は、いつも決まった友だち3人としか遊びません。自分の想いを伝えるのが苦手であり、家に帰ってからは母親に愚痴を言い、八つ当たりをすることもあるこどもでした。今回のダンゴムシ迷路ではいつもの友だちがメンバーにいないとわかっても、自分から「やってみたい」と名乗り出てきました。迷路づくりを通して、自然と友だちと声を掛け合ったり、いつも一緒にいる友だち以外からも、いいところを認められたり悪いところは指摘されたりしながら、友だちとの関わりが深まっていけると思いました。
実際、N児は、製作始めは自分からあまり話せず、自分の意見も言えず、担任が介入することもありましたが、一緒に作っていた友だちに、声をかけてもらったり、「N、それすごいな!」と認められる言葉をかけてもらったりしていったことで、徐々に自分の心を開いていきました。さらには、ダンゴムシの活動以外でも、自分から挑戦しようとする姿もみられ、自己主張もできるようになりました。そして、周りの友だちの良いところにも気付けるようになっていきました。

保育者の配慮
・「ダンゴムシは階段を登るのか、山を登るのか」など、自分が作った障害物をダンゴムシがどのように動くのかを目で見て確かめることを大事にしました。
・今まで身近に感じてきたダンゴムシだからこそ、迷路の中で「ここは幼稚園の場所。公園。サッカー場。」といった自分たちの生活と重ね合わせて好きな遊び場も作りました。
・迷路の形式にとらわれず、子どもから出た自由な発想を大事にしたいと思いました。

<K児に関しての記録>
 仲良しメンバーの中では、穏やかな性格であり、喧嘩の仲裁にまわるような存在でした。友だちとの対話でも相手の意見を尊重し、納得しているような部分もありました。しかし、一方で、自分の意志は持っているがそこをはっきりと押し出すまでの主張を強くは持ちきれていませんでした。そこで、担任はダンゴムシ迷路を通して、K児が自分の想いを持ち、取り組む中で、K児の良い所が周りの友だちにも伝わっていくと思いました。コツコツと取り組んでいく力がついてきたところであり、自分の想いを表現していく姿を大事に伸ばしていきたいと思ったのです。
 実際、K児は、常に自分からこうしていきたいという目標をもって取り組んでいきました。そして、担任もK児が調べてきたダンゴムシについての意見をみんなの前で発表させるなど、周りにも発信できる場を大事にしてきました。一人でも細かいところまでコツコツと作り、自分の考えを友だちに伝えたり、友だちの意見を認めたりしながら、しだいに周りからの評価も得られるようになっていったのです。K児自身も自分の取り組みが自信になっていき、その後の活動へも積極的に取り組めるようになっていきました。
疑問*ダンゴムシって匂いがわかるの?
子どもが活動の中で発したことば 保育者の配慮・子どもの姿
石鹸の場合
始めに自分たちがにおいをかぐ
子ども:いいにおい〜。
保育者:ダンゴムシにとってはどうなのだろう?
子ども:くさいかな〜?

検証
紙の真ん中に削った石鹸の山を置き、ダンゴムシを同じ容器に放して様子を観察する。

結果
ダンゴムシは石鹸の上を登って通った。
子ども:登って通った??
    だけどすぐによけた。

ベビーパウダーの場合
始めに自分たちがにおいをかぐ
子ども:石鹸のにおい〜。
    本当だ。石鹸だ。

保育者:ダンゴムシはどう感じるのかな?

検証
石鹸と同様に真ん中に置く。

結果
ダンゴムシは避ける。
子ども:もしかして、粉だからケホケホってなったから避けたのかな?
ベビーローションの場合
子ども:子ども:くさい〜!!

検証
石鹸と同様。

結果
ダンゴムシは先に触角をつけてから避けた。
子ども:よけた〜。
保育者:何でだろうね?
子ども:においがわかるのかな?
    くさいから?
    触角でチョンチョンってしてたから、触角でくさいってわかったのかな?

保育者:全部ダンゴムシの様子を見てたけど、石鹸、ベビーパウダー、ベビーローションは迷路につけてみる?
子ども:いやだってなりそう。
    くさーいってなる。
    迷路には使わない!


迷路には他のツルツルとした素材として、セロハン素材の用紙を壁に貼ることになりました。

子ども:トンネルにしてみたよ(セロハンをトンネル状にして貼る)
    トンネルならダンゴムシが出ていかないかも!
    こっちを貼るからずれないようにしっかり、おさえて!
    ぼくはこっちを貼るから、そっちお願いね!
    わかった!
    できたー!!
きっかけ
壁にツルツルするものを貼ることに決まり、子どもたちはその素材を各自家から探してきました。 その中には、ベビーパウダー・石鹸・ベビーローションがありました。 これらには匂いがあることに気が付き、迷路に使った時に、ダンゴムシにとってどう感じるのか、どう動くのかを事前に調べて見てから使おうと決まりました。

配慮
生き物を扱う上で「ダンゴムシにとって石鹸などは害がないのか」など、いたわる気持ちを持つことを、大事にしたいと思いました。子どもたちに「自分たちの遊び方は相手の生き物にとってはどうなのか?」ダンゴムシの気持ちを考えた行為を常に頭にいれておくことを伝えていきました。

活動*ダンゴムシの不思議について話し合おう
子どもが活動の中で発したことば 保育者の配慮・子どもの姿
子どもたちとの話

保育者:歯はあるのかな・・・?
子ども:子ども:歯はないよー。
    ちっちゃな歯がある。
    足の裏に歯があるんじゃないかな。
    歯はあるけど、しゃべれないね。

保育者:目は何のためなんだろう?
子ども:敵を見ている。
    しめっているところを探すため。
    敵をみたとき丸くなるの。

保育者:敵をみているの?ダンゴムシの目ってどんな目?
子ども:目はちっちゃい。
保育者:どこまで見えるのかな?
子ども:前しか見えないよ。
    後ろも見えないよ。
    どこまで見えるか見てみたい!
    目は人間みたいに大きくないよ。

保育者:そうだね。みんなは自分の顔には何がついてる?それをどうやって知る?触ってもわかるし・・・
子ども:鏡で見てる!
    鏡を見せてみようよ。
    だけど、お父さんダンゴムシはだめだよ。お父さんは目が見えなくて、メガネメガネっていつも言ってるよ。

保育者:どこまで見えるかどうやって調べよう?
子ども:アリを近くまで持ってきたら?
    ダンゴムシの前に手を置いてみる?
保育者:アリをダンゴムシの前に置いてみる?見えたってことはどうやってわかるのかな?
子ども:???(首をかしげる)
保育者:難しいよね?どうやってわかるのかをもう一度考えてみよう。
配慮
迷路づくりの際には、子どもたちと疑問にあがったダンゴムシの生態についての話し合いの場をつくりました。自分の考えを伝え、友だちの考えを聞いて、さらにもう一度考えてみることを大事にしたいと思ったからです。そこから深めてきた考えを、さらにダンゴムシ迷路やダンゴムシへの探究へつなげていきたいと考えました。




配慮
子どもたちと話し、色紙を何枚か用意することになりました。用意した紙に向かってダンゴムシが進めば目が見えていて、さらにはそれが好きな色なのだと予想し、調べることになりました。
子どもたちから出た色はピンク、緑、黄色、水色、赤、白の6色でした。
疑問*ダンゴムシは目が見えているの?
    ダンゴムシの好きな色は何色?
子どもが活動の中で発したことば 保育者の配慮・子どもの姿
検証  (二回目)
6色(赤・黄色・黒・ピンク・水色・緑)の色紙の上(全体の囲いあり)に、にんじんを一日置きました。翌日、たくさんフンが落ちていた紙の色が好きだと考えてみました。

予想
子ども:体が黒いから黒が一番好き。
    葉っぱの色の緑色が一番好き。。


結果
赤   76個
黄色  35個
黒   39個
ピンク 37個
水色  35個
緑  96個
その他 100個以上

子ども:葉っぱと同じように緑色が好きかもしれない!
    一番好きな色は緑なんだ!

配慮
触角で軟らかいもの、硬いもの、ベタベタするものがわかるのかもしれないという予想があり、色実験をするには、それぞれ同じ形の色紙を用意し、どちらに進むかを見ることに決まりました。一回目の検証方法では色紙の周りに囲いがなかったため、ダンゴムシを一斉に放したところ、そのまま逃げていってしまいました。今度は餌も置いてみようとなり、「囲い・にんじんあり」で再度検証しました。
疑問*いよいよダンゴムシを迷路に放してみよう!!
子どもが活動の中で発したことば 保育者の配慮・子どもの姿
迷路にダンゴムシを放す。

子ども:なんで道がわかるんだろう?
    触角でこっち行ったら道かなーってわかったのかな。
    階段登った。ずるいよな。近道してる。
    何で穴がわかるの?
    触角が目になるのかな?
    ずっとここ(黒の道)にいるよ。この子は緑じゃなくて黒が大好きなのかも。


保育者:方向転換しているね!

子ども:バックオーライしている。車みたい〜。

ダンゴムシの迷路でダンゴムシの姿を見たあとの振り返り。

子ども:大きい山を作ったのに登ってた!
    段ボールにも登ってたよ。
    一本橋にしていた割り箸の上も登った。
    割り箸の下も通ってたよ。
    割り箸の上で休んでいる子もいた。
    じっと動かない子もいたよ。
    透明なところにじっとしている子もいた。
    割り箸の間に入っていったよ。
    スタートの前で進まない子もいた。
    バックオーライしていたよ。


保育者:割り箸のすきまとか、穴をみつけて入ったんだね。ちっちゃな穴でも、入れるのかな?
子ども:入れると思う。
保育者:どうやって入れるか入れないかがわかるのかな?
子ども:自分の体の大きさをわかっているんだよ。
    触角でわかるんじゃない?これは大きいとかちっちゃいとか。

保育者:触角で?触角では何がわかるの?
子ども:ベタベタするところ
    ツルツルするところ
    おんなじ仲間かわからないから仲間を触角で調べる。
    触角が当たったらわかる
    触角で敵か味方かがわかる。

保育者:他には何がわかると思う?
子ども:やわらかいもの。
    かたいもの。













配慮
迷路の中でのダンゴムシの様子をよく観察しており、さらに、触角の動きや足の動き、小さな行動までじっくりと見ていました。そこで、振り返りの時には、今まで調べてきたことと実際の迷路でのダンゴムシの様子が子どもたちの中でつながるように、思い出せるよう、投げかけをしていきました。
活動*動物園へ行って、ダンゴムシ博士に話を聞いてみよう!
子どもが活動の中で発したことば 保育者の配慮・子どもの姿
動物園で飼育員の方からダンゴムシの話を聞きました。

子ども:ダンゴムシの目って見えるの?
    50個あるって図鑑にあって、虫眼鏡でみたけど、本当かな?
    ダンゴムシ迷路で ダンゴムシがバックオーライをしてたよ。
    ダンゴムシは後ろ向きに歩けるのかな?
    ダンゴムシとフナムシはどうして仲間なの?
    初めは海にいたのは本当?
    ダンゴムシは仲間とどうやって話すの?
    どうやってプロポーズするの?


動物園で飼育員の方からダンゴムシの話を聞きました。



飼育員:ダンゴムシにとっては触角が一番大事なんですよ。
    触角で何でもわかるんです。
    そして、ダンゴムシもみんなと同じように、ひとりぼっちじゃ生きていけないんですよ。


子ども:ダンゴムシはひとりぼっちじゃ生きていけないんだね!     仲間と触角でさわって、大きくなっていくんだー。すごいな。
    大きい山を作ったのに登ってた!


配慮
子どもたちの中で、「ダンゴムシの目はみんなのことが見えているのか。ダンゴムシの触角は何がわかるのか」等、疑問に思ったことをもっと知りたくなりました。そこで、9月に多摩動物公園へ行き、甲殻類の飼育員の方に自分たちで直接ダンゴムシの質問を投げかけ解明できる機会を設けました。

この活動で大事にしたかったこと

1,子どもたちが疑問に思ったことを、自分たちで質問を考え、動物園に目的を持って行くこと

2,子どもたちが直接質問し、専門の方から直接話を聞いて理解すること

3,説明の内容も、子どもだからといって事実をあいまいにせず、専門的視点の話も含めて伝えてもらいたいこと

上記のことを大事にし施設や動物園、植物園、昆虫館、資料館などを探し、多摩動物園に決めました。
考察
  1. 友だちと試行錯誤しながら、迷路づくりができました。一つのものを作ることで、友だちとの喧嘩も意見の衝突もありました。しかし、他の友だちが仲裁にはいったり、新しい考えがひらめいたりしながら友だちと関わっていくうちに、友だちとの距離も深まり、より迷路づくりに熱中していきました。
  2. できた迷路はとても想い入れのあるものでした。疑問を解き明かそうと行った動物園では、直接飼育員の方から、写真や絵を使って教えてもらい、自分たちの考え方があっていたこと、違っていたこと、さらに新しい知識を得て、とても満足していた様子が感じ取れました。
  3. ダンゴムシは「触角が一番大事」であり、におい・形・質感・温度もわかり、触角で仲間と話し触れ合って(刺激されるのでよく食べるなどから)体が大きくなっていくことを知ることができました。このことは子どもたちにとっても保育者にとっても、今のクラスの仲間関係、さらにはクラス運営に大きく影響が及ぶ結果となったことがわかりました。
  4. いつのまにか子どもたちの会話の中で、ダンゴムシのことを擬人化して「子ども」と呼び合うようになっていきました。自分と同じまたは、仲間と考えるようになっていったことをおもしろく感じました。
  5. 1学期にダンゴムシについて興味をもち、ダンゴムシの不思議を考えたり、調べたりしてきたことを迷路という形に表しました。2学期になってダンゴムシの生活についてもっと深く知ることもできました。そのような経過があったからこそ、秋のプレイデイの自由表現では子どもたちから「ダンゴムシのおはなし」「ダンゴムシのクイズ」をして、みんなに見せたいという話が持ち上がりました。自分たちで知り得たことを他の仲間に伝えたいという気持ちが自然にわいてきました。秋のプレイデイでは、子どもたちが一番興味を持ち、理解したダンゴムシのことを形にして発表につなげていこうとする意欲がでてきたことが手に取るようにわかり、保育者自身の力にもなりました。

<3 わかったことを伝えよう>
ねらい ダンゴムシについてわかったことを自信もって表現しよう
意図  今までの経験をいろいろな形にして伝えるよろこびを感じさせたい。
A 秋のプレイデイ(親子参加型運動会)
子どもが活動の中で発したことば 保育者の配慮・子どもの姿
春のチョウチョウ役
子ども:わたしは、春のチョウチョウになりたい!
    何色のチョウチョウにする?
    黄色と白色だよ。
    あそこの花まで蜜を吸いにいこうって、ふわふわ飛んでこようよ。
    途中でくるってまわってみよう。




子どもたちの練習の様子を保育者はビデオに撮り見せました。 カマキリ役
子ども:うわー!エッ、僕の動き、何やってるんだかわからない・・・
    まずいな。
    もっと、上から手を振ろうよ。
    僕がこっちからダンゴムシを狙うから、そっちからきて、目を鋭くして、手を上からビュって振り下ろそうよ。




役のグループに分かれ、子どもたち同士でそれぞれ表現を見せ合いながら、練習を重ねました。
そこでは友だち同士でアドバイスをし合う姿がありました。

他の役のともだちから、赤ちゃんダンゴムシ役の友だちへアドバイス
子ども:赤ちゃんって、小さいから、もっと体を丸めて小さく見せたら?
    こうやって(えさを見つける真似をしながら)動いてみたら?
    友だちのダンゴムシがおしゃべりしているところがわかりやすかったよ。
    転がったり走ったりしていて、見ていると楽しかったよ。

配慮
・ダンゴムシの活動を通してわかったことを身体表現として、表現できる場をプレイデイでつくりました。私は、子どもたちの中に自分たちが挑戦してきたことが、自信につながっていることをダンゴムシの表現を通して、父母に伝えたいと思いました。

・ダンゴムシの知り得たことを具体的に体で表すことができるように、子どもとダンゴムシの動きや基本的な「食べる・動く・寝る・うんちをする・触角を動かす・体の動き方」を考えていきました。さらに、ダンゴムシの世界を表現していく中で、ダンゴムシの世界にはどんな生き物がいるのか、どんな場所に生きているのかを話し合い、春夏秋冬を通してダンゴムシが成長していく姿を風やチョウチョウ、落ち葉などの役割もつくることで、より情感豊かな世界を子どもたちと作り上げていきたいと考えました。

<おおまかなあらすじ>
春はダンゴムシの出会いの時期です。ダンゴムシが触角を使ってコミュニケーションをとり、結婚相手をみつけます。

中略

秋はダンゴムシの赤ちゃんが落ち葉を食べたり遊んだりしながら大きく成長していきます。敵のカマキリがやってきた時は、丸くなって体を守ります。

中略

冬はダンゴムシが土の中で眠る時期です。家族や仲間と体を寄せ合いながら、また春がやってくるのを楽しみに待ちます。




・表現活動には、子どもたちと一緒にダンゴムシの歌も作りました。保育者が曲をつけてオリジナルの曲ができました。自分たちで作ったダンゴムシの歌は、リズムを刻みながら楽しさが溢れ、それぞれの動きを助長し、なりきってなめらかな表現につながっていきました。



B 3月のひなまつり会(言語的、音楽的な発表の場)
子どもが活動の中で発したことば 保育者の配慮・子どもの姿
1月のある日
子ども:わたしは、春のチョウチョウになりたい!
保育者:最後の発表会は、何を発表しようか?
子ども:うみぐみのみんなが知っていることって何かな?
    ダンゴムシだよねー。
    ダンゴムシのお話を作りたい!
    :自分たちの劇をやりたい!


そこで、ダンゴムシの話を練っていきました。

保育者:もし自分がダンゴムシになったら何をしたいかな?ダンゴムシってどんな夢があるのかな?
子ども:飛ぶのが夢。
    虹の上を歩きたい。
    バレーの先生。
    虹の上を歩いている時に、眠くなったら、虹が絵の具だったから、虹色になっちゃった。
    海の中を泳ぐのは?
    雲に乗っているところも。
    夜、月に乗るのは?
    エレベーターに乗る、電車に乗って冒険!
    雲から落ちちゃう。
    フナムシの仲間が会いに来るのは?
    いつもは、カマキリがクモに食べられるけど、夢はみんなで遊ぶこと。
    虫たちとパーティーしたい!
    走るのが速くなる。
    キャンプしたりするのは?
    雲の下にはトランポリンがあるの。
    お買い物でバクテリアを買うの。
    ダンゴムシ用で、寒い時用の服を着てみたい。
    本当は白い殻だけど、お魚の洋服を着て、魚と一緒に言葉を話してみる。
    海に行って魚と一緒に泳ぎたい。
    羽があるダンゴムシは?


子どもたちからでてきた話を膨らませていきました。いつもは、地面の近くに歩いているから、
A 空を飛んでみた
B ダンゴムシの仲間は海にいて、海から来たダンゴムシだから海の中を泳いでみたい。
AとBを柱に子どもたちと話の内容を考えていきました。


*空を飛ぶ生き物と遊びたいな*

*雲、虹、雪、お空の世界を楽しみたいな*
虹がエレベーターになって、ダンゴムシが登って行くと、雲のお城があって、そこには雲のお姫様がきれいなドレスを着ていているの。お姫様のお父さんがダンスをしていて、お姫様も一緒に赤ちゃんダンゴムシとダンスをするの。帰る時はまた虹のエレベーターで帰ってくるよ。

*ダンゴムシが空を飛んでいるとき、いつの間にか雪が降ってくる。雲に乗っていると、虹の滑り台があって、ダンゴムシは滑りたいから、雲で階段を作って登って、滑り台で滑るの。虹の滑り台にはだんだん雪が積もってくるから、よく滑るんだよ。

*宇宙へ飛んで行って遊びたいな*
・赤ちゃん・子どもダンゴムシがパパに羽を作ってもらって、どこかに行こうと考えたら「宇宙に行ってみよう!」って思いつくの。宇宙へ飛んで行ったら、いっぱいの宇宙の子どもたち(宇宙人とかいろいろ)がいて、宇宙の子どもたちが、「一緒に遊ぶ?」って聞いてきたから「いいよ」って言って一緒に遊んだよ。

配慮
秋のプレイデイではダンゴムシの現実の世界を表現したので、3学期には、ダンゴムシの気持ちになり「もし、自分がダンゴムシだったら・・・」を想像しながら、自分たちが知っているダンゴムシの世界を好きな世界に置き換えて子どもたちと物語を考えました。
・役のグループごとに、振り付けは任せてみました。その際、どのような設定でどのような想いをもって表現したいのかも考えながら、動きを決めていけるように子どもに投げかけました。そこには、自分たちの劇であることを伝え、自分たちの取り組み方によって、相手(観に来ている人たち)にストーリーが伝わっていくのだということを知ってほしいというねらいがありました。



<おおまかなあらすじ>
ダンゴムシに羽がはえ、空を飛んで鳥やチョウチョウと遊びます。

中略

空ではパーティーが始まりました。

中略

今度は宇宙まで飛んでいき、宇宙人と会います。

中略

最後には、海の中で海の生き物と出会い、宝物をもらって帰ります。



配慮
子どもたちの表現する気持ちがさらに深まるように、音楽を大事にしました。今回は、台本と子どもたちの様子を伝え、音楽家の先生に作っていただきました。情景を表す際に、音は、感情を込めた体の動きや表情を引き出すには、とてもいい効果になると考えました。 さらに、新たにダンゴムシの詩も作りました。 歌が入ることで、劇の内容にさらに深みができ、子どもたちの想いも伝わりやすくなりました。

考察
  1. 自分たちが一生懸命頑張って取り組んできたことは、活動の原動力になります。一学期の学びを歌や身体表現、劇という形にして発表できたことは、とても自信になったようでした。
  2. 発表することの意味や「どのような気持ちで表現したらいいのか」「体をどんなふうに動かそうか」表現することの大切な点を一つひとつ確かめながら意見を伝えあい練習を重ねていったことなどから、自分たちでよいものを作ろうという意欲や団結が感じられました。
  3. 一年間のテーマとして取り組んできた「ダンゴムシ」について表現できたことは、自分で考え挑戦していく気持ち、実現できて満たされる想いを年長児全員で味わうことができました。また、一年を通したダンゴムシとの関わりによって、子どもたちは自分の意見を持つことの大切さ、自分を表現する心地よさ、相手を尊重する気持ちを育むことができました。
  4. 三学期の劇の練習中も、子どもたちは自分たちで練習を重ねたり、友だちにアドバイスしたり、見せ合ったりする姿が見られました。そして練習してよくなっていく自分たちの姿をとても嬉しそうに感じていました。何よりも、子どもたちが毎日楽しそうに練習をし、「早く練習しようよ!」「劇の練習が一番楽しい」と、意欲がことばとして出てきたことが印象的でした。後半は友だちと一緒に自主的に作っていく姿、それを心から楽しんでいる様子が、日々の生活の中で感じられました。
  5. 知り得たことをまとめながら、それぞれがイメージする空想の話にまで発展していきました。それを 父母や、他学年の子どもたち、さらには、祖父母たちにも披露したいと思うと共に、見てもらう喜びを感じました。そしてやりきった達成感から心が満たされ「小学校へ行くぞ」という期待感にまで及んでいったように感じられました。
  6. ダンゴムシが触角によって大きくなるように、子どもたちもダンゴムシを通じて、一人ひとりがふれあい、やり取りを繰り返しながら仲間としての大きな力となりクラスとしてまとまりました。何より一人ひとりの取り組みから子どもたちの内面を知ることができ、正面から向き合えたことが私にとって大きな収穫でした。


 V 総括
1, 一年間の保育を通して〜科学する心を育てて
 自分で「なんでだろうと」と思ったことを、「そうか!」とわかるようにするためには、保育者としてどうすべきかを考えなければいけないと思いました。子どもが解明していく道筋を立てられるように手助けしたいと思いました。そのために、科学する心(ふしぎの心、知的好奇心、創造性など豊かな感性)を大切にしながら取り組んでいきました。

  1. 主体的、自主的な生活が送れたこと
    ダンゴムシと関わった体験から豊かな感性が育まれ「どうしてかな?」と不思議を感じる心が子どもたちの中に育っていました。そして、意欲的に取り組むということは、その答えが見つかるまでの「ウキウキドキドキした心」で過程を楽しみ、結果を知って「なるほど!わかった!」という満足感にひたることができるということがわかりました。目の前のことにも「なぜ?」と純粋に感じ、自由に考えられるようになりました。自分で考え挑戦していく気持ちや充実感が味わえたと思っています。子どもたちには、これからも自信をもって挑戦していってほしいです。

  2. 仲間との関わりが増えたこ
    ダンゴムシと関わる過程で予測したり、想像したり、友だち同士で価値観を共有することができました。 自分だけでなく、仲間と一緒になって作り上げていくことで共感がうまれて楽しみも感じられました。悩んだときに一緒に考えてくれる仲間がいることで、新しい角度から考える力も芽生えたと思います。 私の中では、4月の初めの段階で、クラス全体で何か一つのテーマで取り組んでいきたいということを強く望んでいました。しかし、全員が同じ方向を初めから見るのではなく、興味がある子どもたちがその都度関わっていく方向でもいいのではないかと想い始めてから、私の心の中にも「子どもと一緒に楽しもう」と意識が変わったことで、子どもたちも自発的に主体的に関われていけたのかもしれません。だからこそ、友だちが盛り上がっている姿をみて自分も「やってみたい!」「私ならこうしたい」といった想いが溢れていったのだと思います。

  3. 自信をもって表現し、新しいことへ挑戦していく
    考えることは自由であり、自分の頭で考えた意見は、自信を持って表現していいのだということを子どもたちは感じることができてきました。最後のひなまつり会での、子どもたちの動きには自信がみなぎり、一生懸命想いを伝えたいという気持ちが伝わってきました。そして、終わった後にはやり遂げた成就感を味わうことができたと思います。自分の中に確かな自信を持って、他の活動へも自らステップアップしていく気持ちが芽生えていったように思いました。
2, まとめ
 うみぐみの子どもたちが日々、ダンゴムシに熱中していくうちに、家に帰ってまでも、ダンゴムシの話をするようになりました。すると、家庭でもダンゴムシの不思議を図書館やインターネット、新聞記事で調べてきてくれるようになりました。そして、保護者からもいろいろな情報を教えてくださり、家庭との繋がりも深まっていきました。また園内でもダンゴムシの話題は年長児だけでなく、年中、年少、乳児クラスの子どもたちにも興味が伝わり、一緒になって探したり、ダンゴムシの歌を歌ったりしていました。園全体で、保護者も一緒になって、年長児の活動を見守りサポートしてくれたことはとてもいい環境でした。だからこそ、子どもたちはのびのびと活動に取り組めたのだと思います。

 さらに、保育者自身が子どもたちと一緒になって右往左往しながら活動できたことは、保育者が子どもの想いを感じ、よく汲み取れるようになり、子どもと保育者との信頼関係が強くなったことが良かったと思います。保育を振り返ると、今回、子どもたちの興味を深めていく中で「自分たちで抱いた疑問を、自分たちが考えた方法で解決していく過程を大事にしたい」と思いました。しかし、子どもの言う通りにするだけでは自主性を育むことや、新しい気づきや学びを得ることには繋がらないという指摘を他の先生方から受け、担任側の意図がしっかりと築かれていないということを反省しました。そして、子どもの想いに共感するだけでなく、子どもの考えに疑問を投げかけ、学びを深める視点も持つべきであると学びました。保育者として子どもたちへの導き方はもっと違った方法があったと思います。検証方法や結果の振り返り、まとめかたなど、反省点は多々あります。しかし、2年目だからこそ、子どもたちが発する一つひとつの不思議を一緒になって考え、悩み、向かっていくことに夢中になり力を注ぐことができました。
 私としましては、子どもと一体となって生活する楽しさを、はじめて知り得た実り多い一年だったと思います。

3, 課題、今後の方向性・計画
課題
  1. 科学する心を伸ばせるような計画をもっと細かくシミュレーションしながら立てることが大切である。
  2. 事前にその実験方法は確証があるのかを、検討しておく必要がある。
  3. 子どもが自分たちの検証があっていたと納得できるようなまとめができると更に、子どもたちの理解が確かなものになる。 上記のことを踏まえて、ダンゴムシの活動から得た経験を活かして、子どもたちとの主体的な生活づくりを考えていきたいと思います。
今後の方向性・計画
 担任自身が今回の年長児との関わりの中で、子どもの科学する心のめざましい成長を感じ取ることができたので、年長児になったらどのような姿がみられるのかを頭におきながら、現在の年少中児とかかわっていきたいと思っています。子どもの伸びようとする力を信じて導いていくことを大事していきたいと思います。そして、一歩先のことを視野に入れ活動を導いていくようにしていきたいと思います。
 子どもたちが「やってみたい」と思ったことに関して、子どもの心の中に何が育つか、どのような問題がでてくるかを、その都度予測をしたり計画をしたりして、それに基づく反省ができるようにしていきたいと思います。
今回このような機会を与えていただいたことによって、私は自分の保育を振り返ることができて大変勉強になりました。ありがとうございました。


けやの森保育園   大石瑞穂

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